「……そういうとこだよ」
「へ……」
突然、今までとは打って変わった低く笑みを含んだ声に、背中がひんやりした。
酒井、くん?
「ここまで付いてきて、そんなにあっさり振る?」
「え、」
「中学の頃、浅海、俺のこと好きじゃなかった?」
「そ、それは、」
冷たい目つきに変わった彼に、動揺しすぎて声が出ない。
酒井くんに対して、憧れの気持ちは確かにあった。
でも、それが恋愛対象だったかと聞かれると、正直わからない。
あの頃の私には、恋のことを考える余裕なんてなかった。
他の人たちに嫌われないように、目立たないように、必死で。
「ごめんなさい……あの時の、酒井くんへの気持ちっていうのは、正直、わからない」
「え、何?じゃあ俺の勘違いってこと?」
いきなりの責められるような言い方にものすごい怖くなる。
この人、本当に私がさっきまで一緒にいた酒井くんなんだよね?



