「浅海、ずっとカバンにつけていただろ」
「うん。これ、私の……」
それは、酒井くんが言うように私が中学の頃スクールバッグにつけていたクマのキャラクターのストラップ。
中3の時、どこかで落としてしまって。
でも、当時、学校が終わればすぐにでも家に帰りたかった私は、
ストラップを探すことを諦めたんだ。
少しでも学校にいたくなかった。
確か、ストラップのクマの足裏に『hima』と刺繍が入っているんだ。
思い出してその部分を確認すれば、やっぱり私の名前が入っていた。
「1年の時からつけてるの知ってたから、すぐに返したかったんだけど……」
そう言った酒井くんが一瞬口をつぐんだ。
「……話しかけたら、迷惑かなって思って」
「迷惑なんてそんな!」
あの酒井くんに話しかけられて、迷惑だなんて思う人、いるわけないのに。



