「俺も一口ちょうだい」
「へっ?!」
聞き間違いかと思ったけど、「一口」ともう一度、今度は確かに聞こえて。
いや、断る理由もないのだけれど。
これはそもそも酒井くんのケーキなのだから。
「……うん」
と一口サイズのフォンダンショコラの乗ったフォークを渡そうとすれば、
「あ」
と、酒井くんが口を小さく開けてみせた。
彼の手は膝に置かれたまま。
ん。
えっと、これは……。
前にBBQで浜田くんに言われたことを思い出す。
『お肉、あーんしてくれない?』
あの時はどうしていいかわからなくて困っていたところに、
すぐに寧衣くんが入ってきてくれたから、正直助かったけれど。
やっぱり今時の高校生ってこう言うことを『友達』とも平気にするんだろうか。



