「……っ、このタイミングで聞くの、絶対おかしいってわかってるんだけど。今じゃないと私ずっと言えない気がするから」
「うん」
「……あ、朱耶くんの……連絡先、聞いてもいいかな?……あ、いや、もちろん、本人に許可取らないとだから今すぐにじゃなくていいんだけどっ、うん、その……」
ほんと、人のことは散々言いたい放題言っておいて、自分のことになると不器用すぎるんだから。
「うん。聞いておく。……ずっと、待ってたよ、羽芽が自分から言ってくれるの」
そう言えば、羽芽は頬をほんのり赤く染めたまま目線を逸らした。
「……寧衣と姫茉見てたら、私もちゃんと行動しなきゃって思えた。寧衣に説教してるつもりがブーメランすぎて」
「うん。でも、ありがとう。俺のことも、兄ちゃんのことも。兄ちゃん絶対喜んでいいよって言うと思う」
「そうやって期待させるようなこと言わないでっ」
羽芽はさらに顔を真っ赤にしたまま、俺の肩を強めに叩く。
「あ〜絶対折れた」
もう、足踏みは終わりだ。
俺も、目の前の彼女も。