「ごめんね、俺からもあいつにちゃんと言っておくから。嫌わないであげて」
「き、嫌うなんてそんなこと!」
寧衣くんが仲良くしてるような人だ、悪い人じゃないんだろうってなんとなくわかる。
それに、寧衣くんが私のために友達に怒ったなんて、
尾崎くんには申し訳ないけど、嬉しい。
「……ありがとう」
「ん。ほらはやくいこ」
「うん」
そう返事をして彼の隣に並んでから、一緒に昇降口へと向かった。
まだ夢なんじゃないかと思う。
あの最上寧衣くんとふたきりで校舎を歩いているなんて。
時折、すれ違う女子生徒たちが私たちを見ては驚いた表情をしているのを見て、
やっぱりこの組み合わせは明らかに人から見たらおかしいよね、なんて少し落ち込んでしまって。
寧衣くんはああ言ってくれたけど、周りの反応は間違っていないと思う。
彼の隣を歩く自信がないまま、私は寧衣くんと学校を出た。



