「姫茉、今度の日曜日、彼とふたりきりで会うんだってよ」

え、今なんて?

「はっ、ちょっと待って、なにそれ」

「今の寧衣に足踏みしてる暇なんてないんじゃない?さっさと奪う勢いで行かないと取られちゃうかも」

「いや、マジでそんな大事なこともっと早くいってよ。ふたりきりとか危険すぎるだろ」

「……え。寧衣とふたりきりだってじゅうぶん危険だと思うけど」

「っ、」

うるさい。
浅海さんといると理性が効かなくなるのは事実だから何も言えないけど。

「ま、私は、寧衣が羨ましくてしょうがないけどね」

「どういう意味」

また何か嫌味を言われるのかと身構える。

「もしかしたらいけるかもって、両想いかもしれないって、そうやって少なからず期待できる恋って、すっごくドキドキして楽しいんだろうなって思う。だからこそ、うまくいかない時に落ち込むんだろうし」

「……」

まるで、自分の恋と俺のとを比べてる見たいな言い方。

今までひとつも、自分の恋愛のことで弱音を吐いてこなかった羽芽のその言葉に、

瞬時に、何か声をかけなきゃと思った。