小悪魔王子に見つかりました


「いや、考えなくてもわかることじゃん絶対あいつのほう選ぶ。あの日だって俺が……」

頬にキスした時。
流石にそれは羽芽の前では言えなくて口籠もる。

俺はあの瞬間、浅海さんしか見えていなかったのに。

「浅海さん、すっごい目キラキラさせながらあいつのこと見たんだよ」

彼女はすぐに俺から目線を外して、あいつのことを見た。

すっごく驚いたその顔には、嬉しさみたいなのも含んでいて。

初めてみた浅海さんの表情だった。

あんな顔、ほかの男にできちゃうんだって。

「……ダメなんだよ俺、全然無理。浅海さんの前だと上手くできない。ていうか、付き合ってもいないのに独占しようとするのはおかしいって言ったのは羽芽でしょ」

それなのに、ほかの男と話すことを許したことを怒られるなんて、

羽芽の言ってることがコロコロ変わってることもまた俺の癇に触る。

「はぁ?私が言いたかったのは、動こうとしないやつにぐちぐち文句いう資格ないってこと!寧衣はあのあとちゃんと踏み出してはいたじゃん。動きかけてこうなってるから……」

そう言った羽芽が唇を噛みながら視線を落とす。