「……いや、まぁ、地味なのは本当だし……ああいうこと言われるのは……慣れたよ」
「ダメ」
「へっ……」
っ?!
スッと彼の指が私の顎に触れたかと思うと、そのまま持ち上げられて、自分が今自然と俯いていたんだと気付く。
なにこれ。
バチっと寧衣くんと目が合って。
触れられた顎から徐々に顔が熱を帯びて熱くなる。
ドキドキドキドキと加速する心臓の音。
「ああいう言葉に慣れちゃダメ。嫌なことに慣れようと自分の感情を麻痺させちゃダメ」
「……っ、」
なんで、寧衣くん。
なんでそうやって私にまとわりついていたしがらみを解くような言葉をかけてくれるの。
寧衣くんといると彼の言葉に泣きそうになってしまう。
ダメだ泣いちゃ、困らせちゃう。
そう思ってギュッと歯に力を入れて涙を我慢する。



