陽香ちゃんの声に、コクンと頷く。

「……今週の日曜日、会えないかって」

「まじか」

「うわ、なんか私の方が緊張してきたな。姫茉の気持ちはわかってるけど、相手はあの酒井隆一くんだよ?」

「和子、どういう意味よ」

羽芽ちゃんの素早くて鋭い声。

「いや言葉にするのはちょっと難しいんだけど、あんなモテ男に誘われたら浮かれるのも無理はないと言うか」

「別に姫茉は浮かれてないから!友達だって向こうは宣言してきたんでしょ?!」

「あぁ、わかってるわかってる!ごめん!」

和子ちゃんが慌てたように手のひらを羽芽ちゃんに見せる。

そんな2人の間に陽香ちゃんが入って「まぁまぁ」となだめて。

そのタイミングで、本鈴が鳴って、今度こそみんなが席についた。