「まぁ、羽芽が心配してることなんておこらいんじゃないの?」

「そうそう。あの有名な酒井くんだよ?もし女の子に変なちょっかい出すような人ならすぐ噂になっているだろうし」

「……んー、……だといいけどさ」

羽芽ちゃんのほうはまだ少し納得いっていない様子だけれど。

「羽芽ちゃん、大丈夫だよ。ありがとうね、心配してくれて」

「……大丈夫じゃないと困るからっ」

羽芽ちゃんが口を尖らせながらそういえば、ちょうどHRの始まる予鈴が鳴って。

「じゃ、また後でゆっくりね、姫茉」

和子ちゃんがそう手をあげた瞬間───。

ブブッ

電源を切ろうと手に持ったスマホが震えた。

「あっ、……」

表示された名前を見て思わず声が出た。

「え、なに、」

「まさか酒井隆一か?!」

私の机から離れようとした3人が再びギュッと集まる。