そうだよね。
ずっとみんなに寧衣くんとのこと応援してもらっているのに、

こんな風に別の人の名前が出てきたらびっくりしちゃうに決まっている。

「……ごめんね、」

目線を机にうつしてつぶやく。

「いや、姫茉は何にも悪くないけどさー!タイミングがタイミングっていうか……てか、寧衣からなんにも聞いてないんですけど、なんなのあいつ」

廊下で友達に囲まれながら窓枠にもたれている寧衣くんを鋭い目つきで睨む羽芽ちゃん。

そ、そんなに睨まなくてもっ!!

「あ、いや、寧衣くんは、気を遣ってくれたんだと思うのっ」

羽芽ちゃんの機嫌をどうにかしようと慌ててそういう。

「えぇ?」

「久しぶりに中学の同級生に会えて、積もる話もあるだろうからって、『よかったね』って、」

「はぁぁーー?!?!」

や、やってしまった。

落ち着かせようとしたのに、逆に、教室に響くぐらいの大きな声を出させてしまった。