「あっ、そうだよな!ごめんっ!じゃあ最後に一個だけ!」

申し訳なさそうにそう言いながら、ズボンのポケットからスマホを取り出した酒井くん。

「連絡先、交換しよ!」

「えっ……」

あの酒井くんから連絡先を聞かれる日が来るなんて全く想像してなかった。

だって、中学の頃一番二番を争うぐらい女の子たちから人気だった男の子だ。

そんな彼が……どうして。

連絡先を聞かれるぐらいだから嫌われてはいないんだってことがわかって安心もしているんだけど。

でも。

「ごめんね、今スマホもっていなくて。放課後以外は使用禁止なの」

酒井くんの気持ちはすっごく嬉しかったけど、タイミングが悪かった。

それに、今は寧衣くんの体調が気がかりだ。

早く休ませてあげたい。