「1組ゴーーール!!いやよく頑張りました!!!アクシデントがありましたが最後まで走りきりました!!!」

私たちがゴールテープを切った瞬間、会場から溢れるような拍手が沸き起こった。

「……はぁ、ありがとう、木野くんっ。ごめんね、優勝、出来なくて」

「浅海さんが謝ること何もないから。俺が……いや、それよりも、怪我───」

両膝に手をついて息を整えながら木野くんと話していると、

身体がフワッと宙に浮いた。
安心する香りが鼻を掠めて。

身体が持ち上げられたような感覚がしたかと思えば、大好きな横顔が視界いっぱいに映った。

シャープな輪郭に、スッと通った鼻筋。
この角度から見てこんなに綺麗なことなんてあるのだろうか。

「ね、寧衣くん?!」

「ちゃんと捕まっててね」

へっ、と、これは一体……。

突然の寧衣くんの登場に、頭が追いつかない。しかも、この格好って……。

状況を理解する前に、グラウンド中から「キャーー!!」という黄色い歓声があちこちから聞こえてきて。

背中から伝わる熱と、太ももに触れる寧衣くんの腕。これが夢じゃないことを実感する。