「よし、そろそろ行こっか!」

「うんっ」

あと数十分もすれば、開会式が始まる。

私たちは早足で体育館を出てグラウンドへと向かう。

学校行事をこんなにワクワクした気持ちで迎えられたのっていつぶりだろうか。

中学の頃は、賑やかなその雰囲気が苦手すぎて、始まらないで欲しい、早く終わって欲しいって、そんな気持ちだけだったから。

「……みんな、本当にありがとうね」

胸に収めきれなくなった気持ちが、声になって溢れ出る。

「姫茉……」

立ち止まった私の声に3人が振り返る。

「自分が、学校に行くことが、今日の体育祭が、こんなに楽しみだって思える日が来るなんて想像もしなかったから。嬉しくて……ほんとみんなのおかげだよ。ありがとうっ」

この子たちに出会えたことが、私の人生にとって大きな財産だって、この先もずっと胸を張れるから。

「もう〜!!なんで始まる前にそんなかわいいこというかな〜!!泣いちゃうじゃ〜ん!」

私の腕に手を巻きつけて頭をグリグリしてくる羽芽ちゃんに、ウルっとして。