「ね、浅海さん!」

「な、なんでしょう」

ギュンッと身体ごとこちらに向けてまっすぐ私のことを見る寧衣くんにびっくりして軽くどもってしまう。

そんな綺麗な顔で見つめないで欲しい。
心臓がバクバクとうるさく鳴る。

前髪が視界を邪魔してくれていてよかった。
心臓持たないって。

「今日俺と、放課後デートしない?」

「はっ?!」

デ、デ、デ、デート?!

何を言い出すんだ寧衣くん。
気は確かでしょうか。

デートって、私たちそういう関係じゃないのに。

というか、そもそも寧衣くんってもしかしてチャラ男だったり?!

そうか。
それならわざわざ私にこんな風にやたら話しかけるのも納得かも。

地味な女を堕とそうとかゲーム感覚の、そういう魂胆なんじゃ。

よく少女漫画でもあるよね。

モテ男子が自分になびかない地味女子にちょっかい出したりして。