「しょんぼりしないの姫茉〜」

羽芽ちゃんのその声にハッとすれば、彼女の手が優しく私の肩を掴んでいた。

「いい?そんな高校のリレーごときに人生決めらるなんてたまったもんじゃないでしょ!」

「羽芽ちゃん……」

私の目をしっかり見て離さない羽芽ちゃんの瞳は真剣そのものだ。

その気持ちが伝わって胸がギュッと熱くなる。

「変に不安になることないんだから。姫茉ならあんなの当てにしなくても大丈夫っ!」

「だね。ごめんね姫茉。うちらつい盛り上がっちゃって色々言っちゃって」

和子ちゃんたちが視線を落として申し訳なさそうにそう言う。

「ううん!そんな、全然和子ちゃんたちのせいじゃないからっ!それに、ふたりからロマンチックな話しを聞けて幸せな気持ちになれたし、ほんと、私が勝手に……」

勝手に想像を膨らませて、寧衣くんとどうにかなれるきっかけが出来るかもしれないって勘違いして浮かれていたのは完全に私だ。

ふたりは何も悪くない。