完全に引かれたかもしれない。
嫌われたかもしれない。
最上くんの善意をそんなふうに跳ね返すなんて。
でも、中学の頃みたいになりたくないから。
私のことは、ほっとい──。
「わかった。じゃあここで俺とふたりで食べよ?それならいい?」
「えええ?!」
なんてことを言うんだ。
そんなこと許されるわけ。
そもそも最上くんはそれでいいの?
「最上くんは……」
「ねーい」
「え、」
「友達はみんなそう呼んでる」
下の名前で最上くんを呼べと言うことですか。それも『友達は』って。
私は友達じゃないんだから呼んでいいはずが。
学校でこんなに頭をフル回転させたのなんて高校に入ってからは初めてだ。
「あ、俺の下の名前知らない?!」
「はっ、いや、全然知ってますっっ」
「は、よかった。じゃあ呼んで?」
「……ね、寧衣く、ん」
どうしよう。
すっごい恥ずかしいよ。



