「や、えっと、言葉の綾と言いうか」
「たとえ浅海さんがそう思ったんだとしてもさ、そんな悲しいこと言わないでよ。せっかく同じクラスになったんだし」
「……っ、」
なんなんだろうこの人。
あんなに周りから慕われてて人気者で。
それなのに私みたいな地味な人間に近づいてきてそんな言葉をかけてくれるなんて。
カースト上位の人たちにとって、私のようなタイプは視界に入れないようにするものだと思っていたから。
今こうやって彼と話をして。
ほんとうに王子様みたいな人だと思った。
でも……本当の気持ちなんてわからない。
心の中では私のことバカにしてるかも、なんてそんな風に歪んで考えてしまう自分も嫌になる。
「ご飯、友達と食べないの?」
「いや、友達、いなくて」
「あ〜クラス離れちゃった?」
「……去年も仲の良かった子はいなかったです」
「……そっかぁ」
これはさすがに最上くん引いているよね。
友達が一人もいないなんて。
少し間を開けてふたたび最上くんが口を開いた。
「じゃあ明日から、俺たちと食べよ」
「え、お、俺たち?」
「俺の友達と。女の子もいるし、絶対浅海さんと仲良く──」
「む、無理です!!」
思わず大きな声を出してしまった。



