「さっきは本当にお疲れ様」

とてつもなく広いリビングのふっかふかの大きなソファに座るように促されて。

「ちょっと待ってて」とキッチンへ向かった寧衣くんが、

飲み物の入ったグラスを両手に持って戻ってきた。

「ううん!こちらこそ本当にありがとう。寧衣くんのおかげで、あの子たちとちゃんと話すことができたから」

そう言って、受け取ったグラスに口をつけて、爽やかな風味のするその飲み物で喉を潤す。

……レモンウォーターだ。

おしゃれなものを飲んでるな……。

「俺は、何にもしてないよ」

「ううん。寧衣くんや羽芽ちゃんたちがかけてくれた言葉を思い出して、勇気が湧いてきたんだよ」

寧衣くんに出会っていなかったら、私はずっと逃げてばかりだったから。

「そっか。怖くなかった?」

「……んー、ちょっとだけ。でも、」

「だったら、俺の前では無理しなくていいよ」

「へっ……」

彼のセリフに、思わず目を見開いて固まってしまう。