小悪魔王子に見つかりました


「今引いたでしょ、浅海さん」

「あ、いや、ただ最上くんもそんなことするだなとびっくりしただけで」

「するよ普通に。かわいいの好きだし」

『かわいいの』
彼がそう言って、脳裏に井手上さんがチラついた。

最上くんはやっぱりああいう綺麗で可愛い女の人が好きなのかな。

って。今はそんな話してるんじゃないのに。

「っていうか、なんでさっきから敬語?同級生なのに」

スプーンでプリンを一口すくった最上くんがそう聞いてきた。

「……それは……私と最上くんは住んでる世界が違う、ので」

「ん?」

まるで私がおかしなことを言ったみたいなぽかんとした表情。

最上くんが首を傾げながら、こちらをじっと見つめてきて。

最上くんには私の言ったことがよくわからないみたい。

そして、フワッと空気が動いたと思えば、
ほんのり甘い香りが鼻腔をくすぐって。

私の頬に彼の手が触れた。

っ?!

「俺、今、浅海さんにちゃんと触れてるよ。同じ世界にいる」

「……っ、」

あまりにも衝撃的だった。