「でも顔と髪けっこう濡れちゃってる」

「寧衣くんだって……」

「俺はいいの。ほっとけばすぐ乾く」

そう言って、会場に入ったときに配られた、イルカのイラストつきフェイスタオルを彼女の頭にフワッとのせる。

「ごめんね。せっかく髪の毛巻いてきてたのに。落ちちゃった」

「へ、ううんっ!!全然っっ」

必死にブンブンと首を横に振る姿が愛おしくて仕方がない。

お願いだからその可愛い顔、誰にも見せないで。

そんなことを思いながら、彼女を包むタオルに手をかけて。

その白い肌についた雫を拭う。

「ね、寧衣くん……じ、自分でできるよ」

「ダメ〜。俺がやりたい」

ねこなで声でそう言えば、キミが断れないことを知っているから。

「あ、ありが、とう」

「……っ、」

恥ずかしそうに火照った顔をタオルからひょっこりと出した浅海さんに、こっちの顔まで熱くなった。