「そっか。ならよかった。俺も好きなんだよね〜。よかった無事、2つゲットできて」
いや、よかったって……。
「お礼だよ、これの」
「あっ、」
最上くんが指差した先を見てそんな声が出る。
彼の制服のシャツの胸ポケットからちょこんと顔を覗かせてるクマのキャラクター。
私が朝、最上くんに貸したシャーペンだ。
さっきは、もっとシンプルなものを貸した方がよかったんじゃと後悔していたけど、
今のこの姿を見て、子犬のような可愛らしい顔も待ち合わせている彼に、
これはこれでよく似合うなと思ってしまった。
「お礼なんて、そんな……」
「すげぇ助かったから!もちろん帰りにちゃんと返すから。午後まで借りてていい?」
無意識なんだろうか。
わずかに首を傾げてそう言う姿があまりにも可愛い。
「は、はい。全然どんどん使ってください。というか、それでいいんですか?もっとシンプルめなものも一応あるので」
「え!いいよこれで!これがいい!授業中、心の中で話しかけてんの」
「え」



