水族館に入るまでは、俺の彼女だって勘違いされただけですっごく恥ずかしそうにしていたのに。
今は、海の生き物に夢中なんだもんね。
ちょっと、魚に妬く。
「あ、クリオネだ!かわいい……」
「ほんとだ。かわいいね。でもクリオネって餌食べるときの姿が怖いってなにかで見たかも」
「え……そうなの?どうやって食べるんだろう……」
じーっと水槽の中の生き物を見つめる浅海さんの横顔に、トクンと胸が鳴る。
浅海さんは純粋に水族館を楽しんでいるのに、俺はいちいち頭が違うことを考えている。
……今、実はこのコーナー、俺たちふたりきりなんだよな、とか。
さっきまでいたお客さんたちが一気に別の場所に移動したから。
ほかのエリアに比べて少し狭い、丸い形をしたこの空間で、俺と浅海さんのふたきり。
きっと魚に夢中な浅海さんはそんなこと考えてもいないんだろうけど。
さっきみたいに少しでいいから、意識してほしい。
俺のことを、見て。



