「ごめん、俺、つい……」
つい、じゃねーよ、なんて自分につっこみながら、手を離す。
「ううん。だ、大丈夫っ。ちょっとびっくりしただけで。……えっと、寧衣くんは、ここの水族館、よく来るの?」
浅海さんが、完全に、手を繋いだことから話を逸らそうとしてるのがわかって、
少しだけ落ち込んでしまう。
やっぱり嫌だったのかなって。
いや、そりゃ好きでもないやつから許可なくあんなことされたら嫌に決まってるんだけど。
「中学の頃に遠足で来た以来かな。高校になってからは初めて」
「そっか……」
「浅海さんは?」
「私は───」
「次のお客様どうぞ〜!」
浅海さんが答えようとした瞬間、カメラマンの隣にいる女性スタッフが俺たちに声をかけて来て、
あっという間に順番が回っていたことに気付く。