しばらく散歩して、トーマ様の所に戻ってみると、トーマ様は、木に寄りかかって本を読んでいた。

「あっ トーマ様」

私は、走ってトーマ様に近寄った。

「おかえり、リリア」


トーマ様は本を置いて、笑いかけてくれた。

私も笑い返す。



「勝手に散歩に行っちゃって、すみませんでした」

「いいんだ、ここの湖きれいだろう?」

私は、うれしそうに頷いた。

「はい、とても。向こうの方には花も咲いていて、癒されました」

「それはよかったよ。もしよければ、後でわたしとも散歩しないか?」

と、トーマ様は私を見つめた。

「はい、喜んで!」

私は笑顔で頷いた。

誘ってもらえて、すごく嬉しかった。

トーマ様が私を見上げ、自分の隣をトントンと指差している。

ここに座れ、ということなんだろうか?

私はドキドキしながらも、隣に座って、トーマ様と同じように木に寄りかかった。



トーマ様との距離。5センチ。

大接近だよ。

あー、緊張する。



そんなこと思ってると、

トーマ様が、いきなりこっちを振り向いた。



またまた私の顔が一気に、赤くなる。

もう、トーマ様の吐息が届く距離まで近づいている。




ドクン ドクン

胸が大きく高鳴る。

指や体に緊張が走る。

こんな間近で、トーマ様に見つめられたの初めて。

すごく恥ずかしくなってきて、モジモジしてしまう。

「リリア…」

「はい」

私は、トーマ様を見つめた。