「続きは家でじっくりね」
一条さんがウィンクする。
すると、このタイミングで私のお腹がギュルルルっと鳴った。
「あっ……」
彼と目が合い、あまりの恥ずかしさで一気に顔の熱が急上昇した。
きっと今の私の顔は茹でダコのように真っ赤に違いない。
すぐお腹を押さえたが、絶対に彼に聞かれた。
ああ〜、もう恥ずかしい。
「今日は立食パーティーだったし、芽依は食べれなかったよね。帰ったら食事しよう」
一条さんは笑いを必死で堪えてるのか、ククッと肩を震わせている。
「……一条さんひどいです」
何でこんな時に鳴っちゃうの、私のお腹!
これは佐藤さんにも聞こえたのか、彼はいささか挙動不審な動きをした。
ひょっとしてキスも見られたんじゃないの?
ああ、ブラックホールがあったら今の私を飲み込んでほしい。
「一条さん、笑ったらこの車降りてタクシーで帰りますよ」
半ば本気の一言に、彼の周囲の空気が一気に冷たくなった。