「式の前に指輪を用意しないと。姉貴、芽依のサイズと好み聞いておいてくれないか?それとなく」
この人にそれとなくは無理か?
「指輪ね。任せなさい」
どこから出してきたのか、姉は大量のブランドのカタログを手に持って来た。
姉はずっと妹がほしかったみたいで芽衣のことをとてもかわいがっている。
いろいろ世話を焼きたいのだろう。
それにしても、社長秘書ってそんなに暇なのか?
それとも、全部東山にやらせてるのか?
「芽依ちゃんなら、このブランドがいいと思うんだけど。ついでにティアラも買っちゃいなさいよ。私も新作指輪買っちゃおうかな」 
「ティアラはドレス決まってからのがいいんじゃないの?」
衣装関係はよくわからないが、俺がそう返すと姉は珍しく納得した。
「あっ、それもそうね。私もドレス新調しなきゃ」
「浮かれるのは良いけど主役は芽依だし。式の件は、今夜東雲社長と話してからかな。それに、ちゃんと仕事して下さいよ」
「失礼ね。ちゃんとしてるわよ。ね!叔父さま」