「でも、詩織さんが明朝まで続くって言ってましたよ。主役が抜けるなんてマズくないですか?」
「じゃあ、この後のディナーが終わったら抜けよう。母さんも孫が抱けると思えば文句は言えないよ」
花火が終わると、みんな城の中に入って広いダイニングルームでディナータイムとなった。
瑠偉さんが配慮してくれたのか、私にお酒を勧める人はいない。
夜中の零時になって遅いディナーとデザートタイムが終わると、瑠偉さんが私の手をつかんでダイニングルームを抜け出し今夜の寝室へ向かう。
なんだか瑠偉さんとふたりでちょっと悪いことをしている気分。
瑠偉さんが鍵を開けて寝室の中に入ると、真っ白な天蓋付きのベッドが深紅の薔薇の花びらで綺麗にベッドメイクされていた。
「愛してる」
瑠偉さんは優しく囁くと、私を抱きしめて甘く口付ける。
もう魔法は解けない。
愛しくて優しい旦那さまが、キスの魔法を毎晩かけてくれるのだから。
 
 
 ※芽依side ー Fin.