「芽依ちゃんはスタイルいいもの。何着ても似合ってたけど、あのドレスは芽依ちゃんにあつらえたように似合ってたわ。あのドレスを芽依ちゃん用にアレンジして作ってもらいましょう」
「え?お借りするんじゃないんですか?」
聞き間違いかと思って確認したら、彼女は私にゆっくりと微笑んだ。
「大事な娘の式なのよ。ちゃんと完璧なものを用意したいの」
まだ娘じゃないんですけど……とはとても言えない。
「遠慮しないで。瑠偉ならそうするわよ」
「……はい」
なんかもう詩織さんには「はい」しか言えないよね。それに、断っても絶対に聞き入れてくれない。
私は思わず苦笑した。
「ソワレも数着お願いしましょう。あのピンクの花柄の、とても綺麗だったわ。ほんと目の保養になって楽しいわね」
詩織さんは高らかに笑う。
「それからね、アラン……瑠偉の父親だけど、大口の設計の依頼を三件程かかえていて日本に戻るのは難しいらしいの。だから、式はフランスでやってもらえないかしら?もちろん、日本でもやってもらってもいいのよ」