部屋に通された

「すずさん
変なこと聞いてもいいかな⁇」

「はい」

「すずさんのお母さんは奈緒という名前
ではないかな⁇間違っていたらすまない」

「どうしてそれを…母の名前は奈緒です」

「やはり…」

「親父⁇」

「今から言う事を…驚くと思うが聞いて
もらえるか⁇」

「はい」

「私の大学の親友に吉野岳流(たける)という
男がいた
そいつは吉野財閥の御曹司
吉野財閥はわかるだろう⁇」

吉野財閥と言えば、誰でも知っている
日本でトップの財閥だ

「親父…その人が⁇なんだ⁇」

「私と吉野は大学を出るとお互いの
会社に入った
まあお互い跡取りという事もあって
すぐに専務になった
その時、私の秘書だったのが…
すずさんのお母さんだったんだ
吉野と一緒に仕事をする事になり、すずさんの
お母さんを連れて吉野の会社に行った
そして吉野はお母さんに一目惚れしたんだ
だからすぐにアプローチしたんだ
でもすずさんのお母さんは身分が違うと
取り合わなかった
吉野は俺に相談してきた
気持ちを聞いて欲しいと
だからお母さんの気持ちを聞いた
なんとお母さんも実は一目惚れだった事が
わかった…だけど吉野は財閥の跡取り息子
自分とは合わないと…だから気持ちを
言わないで欲しいと頼まれた
でも私は彼女の気持ちを
吉野に話をした
私も若かったんだ
お互いが好きならどうにでもなるって
無責任だよな
吉野は家を捨ててすずさんのお母さんと
暮らし始めた
そして君が出来た
二人は幸せそのものだった
大切に君を育てていた
だけど吉野財閥にはあいつしか跡取りが
いなかった
だから親が調べたんだ
二人の元へ両親が行った
そして多分いい事を言って吉野家に帰らせた
それと同時に秘書を辞めたんだ
それから親の陰謀で二人は引き離された」

「陰謀って⁇」

颯大さんが聞いた

「二人には半年後結婚式を挙げさせる
そして正式にすずさんのお母さんを吉野家の
嫁として籍を入れるってな
約束をする代わりに吉野は色々仕事を
こなさないといけなくなった
吉野は結婚出来ると思って必死に仕事をした
そしてすずさんのお母さんは
吉野が仕事が出来るように
結婚式までは離れて暮らして欲しいとあいつの
両親にお願いされたんだ
吉野もそう願っていると言われた
そして家も用意されて生活が十分に出来る
お金も用意されたらしい
彼女は信じて待っていたんだ
その間連絡も出来なかったらしい
そして半年後吉野は別の女性と結婚した」

「そんなバカな!」

颯大さんは声を上げた

「私も彼女とは連絡が取れなくなっていたから
知らなかったんだ
半年後吉野から結婚式の招待状が届いた
私は二人が結婚するものだと思っていたから
開けてみて驚いたよ
新婦の所が違う名前が書いてあったから
そして結婚式に出て吉野から事情を聞いた」