「そうか…理由はわかったけど
でもなあ…あと少しずれていたら…
命はなかったんだぞ」

社長が切なそうに言った

「お前を失うと思った…怖かった
俺達を守ってくれてありがとう」

社長に抱きしめられた
ムスクの香りが…
いつも傲慢で俺様な社長が…
優しく抱きしめてくれている

そして身体を離して

「今まで姫華がわがままを言っても
姫華が悪くないように守ってくれたんだろう⁇」

「えっ!」

社長何を言い出すんだろう⁇

「姫華が全部話してくれたよ
君を追い出すつもりだったって
だから色々俺に悪い印象を与えていたらしい
苅田にも君の事を聞いた」

苅田さん…なぜ⁇

「苅田さんが⁇」

「お前が姫華に"冷たく当たられている"って
"精神的にも辛いんじゃないか"って
あの事件の日に聞いたんだ
だから早く帰ってお前の話を聞くつもりだった
姫華が迎えに来ると言ったが…
早く帰るからと伝えたんだ
だから仕事を早く終わらせて会社に戻った
そしたら車からお前達が見えたんだ
その時"なぜ会社に来てるんだ"って思ったよ」

「すみません…」

「いや…あの時も姫華はお前に嫌がらせの
つもりでわがままを言ったと…
こんなにわがまま言っても自分とパパを
助けてくれたと…泣いてたよ
許してやってくれ
俺もお前に冷たく当たって申し訳なかった
何も気付いてやれなくて…」

姫君がそんな事…思ってくれてたなんて

「許すとか許さないとか…関係ないです
お二人が無事なら…それより姫華ちゃん
今までも家政婦さんを追い出してきたと
言ってましたよ」

「そうなのか⁇そんな事を…言ってたか
今まで家政婦はいなかった
羽菜が面倒を見てくれてたんだ
たぶん…家政婦じゃなくて 
俺が付き合った女達を追い出した⁇
う〜ん別れさせた
という方が正しいかな
たぶんお前みたいにやってたのかな⁇
考えてみたら…なんかいつも逃げられる
感じだったからなあ
まあ俺も逃げられたからって
姫華がいるからどうでもよかった
気にしなかったんだ」

社長の彼女さん達を別れさせた⁇
やるな…悪魔の6歳児

「たぶん君も俺の恋人だと思ったんだろう」

「はい
だいぶ釘刺されましたよ
"パパにちょっかい出さないで"って
ちょっかい出す訳ないですよね
親友の旦那さんと思ってたんですから
笑っちゃいますね」