別棟の空き教室だから、ほとんど人の声は聞こえない。


1人だけ、この世界にぽつんと取り残されたような気持ちになる。



でも、唯一の楽しい時間がもうすぐやってくる。


















「伊織さーん!!おはようございます!!」


「おはよう律、樹。元気だね。」



バタバタと静かな別棟に響く2人の走る音が聞こえてくると嬉しい。

「おはようございます、伊織さん」

「伊織さんっ!今日もお綺麗です!!」


「お綺麗じゃないよ。」


「「お綺麗ですっ。」」



見事に揃う2人
ありがとうと流しながら、日の当たる窓際の机を3つくっつける。



「伊織さん、今日樹が〜、」


他愛もない話を聞いて、あっという間にお昼が終わる。

そんな日々を過ごしていた。