【番外編】好きの海があふれそう

~悠麗~

玖麗がヨーロッパに留学に行ってから数か月…。




俺は毎日生きる屍。



「も~、負のオーラひどいよ」

「うるせえ…。修学旅行で海琉に会えなかっただけでテンション下がってた杏光に言われたくない…」



杏光は俺のことを面白がってる。



痛々しいよと言われる日々…。



でも玖麗に会えないんだからしょうがない…。



欠かさず毎日連絡は取ってるけど、俺らの間には時差がある。



電話だってしたいのに、なかなかできないのが現状…。



玖麗なしで一年も耐えられるわけがない…。



≪ねえ聞いて悠麗、今日ね、すごい綺麗な街行ったの! 写真送ったから見て~≫

「おおー、ほんとだ…」

≪なんか暗いよ…? 何かあった…?≫

「玖麗に会いたくて頭おかしくなりそう…」



俺がそう言うと、電話越しにも分かる玖麗の照れた表情。



ああ、想像でかわいい…。



≪あたしも会いたいよ…?≫

「もう会いに行く…」

≪学校あるじゃん…≫



学校があるんだよな~…。



くそ、それさえなければ…。



ん? 待て待て。



冬休みがあるじゃん!



しかもクリスマス前に冬休みが始まるからクリスマスには玖麗に会えるんじゃ!?



そうと決まれば俺はすぐに航空券を取って。



時期が時期なだけにくっそ高い…。



さらば、俺のバイト代…。



だけじゃ足りないので、親に借金までした。



冬休みがはじまってすぐに俺は飛行機に飛び乗った。



今日は玖麗は学校があるらしい。



玖麗の学校の前でひたすら待った。



冬のヨーロッパは寒い…。



鼻が赤くなっているのを感じているところで、玖麗らしき人影が校舎から出てくるのが見えてきた。