「このポイントの…あの…」

急に横で話してたあおの声が止まる。

途中から眠そうだったもんなぁ。

顔に落ちてきた髪をすくって、耳にかけてあげる。

そのまま頭を優しくなでて、

さっきまでのことを思い出す。

つまり、メダル取ったら交際。

取れなかったら…きっと…

あおは俺の前から姿を消すんだろう。

そんなの絶対嫌だから、

必ずメダルは取る。

それまでの間は今の関係の継続。

でもそれでもいい。

だってあおが初めて俺に向き合ってくれたから。

それに答えるしかないでしょ!

でも、よかった。

少しでもプラスに考えてくれるようになって。

あおはいつもどこか自分への評価がひくすぎる。

化物か、ってくらい頑張ってるのに、

まだまだ足りないって自分で自分を追い込んでいく。

普通、大学と専門とバレーの両立なんて難しいのに、

甘えを知らずどんどん突き進んでいく。

それは素敵だとも思うけど、

危うさを持っていて心配になる。

少しでもあおが自分を褒めてあげられるように、

俺はコートの上で証明し続ける。

あおのためにもバレーをもっと楽しみたい。