あれからあおは特になにも言ってこず、
今まで通り。
あのトレーナーもいつも通り。
この合宿もいよいよあと数日。
またしばらくあおに会えなくなるな…
そんなことを休憩中にあおを見ながら考えていると、
「お兄ちゃん、この前ぶり!」
後ろから声がして振り向く。
由香がなんでここに?
そう思ってたのが伝わったのが由香が前を指差す。
「んー、勧誘?」
視線を動かせば、さす方向にはあおの姿。
あおが健さんと監督に挟まれて、
動揺した表情を見せている。
「勧誘って…」
「女子代表入りませんかって」
にっこり笑っていう由香になんで返せばいいかわからない。
あおが注目されるのも、
大好きなバレーができるのも、
正当な評価が受けられるのも、
めちゃくちゃ嬉しいことなのに。
どこか、離れて欲しくないというか、
自分たちだけのものであって欲しいような…
「少しは進展した?お母さん達心配してたよ?」
「…余計なお世話。」
視線があおから逸らせない。
ここから見てる感じではあおは拒んでるみたい。
でも健さんは複雑そう。
監督は勧めてるのかな。
どうすんだろ。