「パパの、竹刀……まさか、直してくれたの?」

「お前の大事なもんだろ。今度は、壊すなよ」

 パパの手痕も竹も何もかも、元に戻っている。

「ありがと。嬉しい」

 パパの竹刀を抱きしめていると、アクマ天使にメリーゴーランドのそばに連れていかれた。

「お前はここにいろ。──俺は、アイツとやってくる」

 睨むようにして見る先に、灰色の髪の魔物がいる。

「え、あれ、天使、だよね?」

 白い羽で、大天使のように頭の上に輪があるけれど、全然輝いてない。薄汚れて切れかけた電灯みたいだ。

 服は灰色っぽく、何日も洗ってないような感じ。もしかしてあれが、堕天使。

「変わり果てた姿だな。ルーブル」

「それは最大の褒め言葉ですね。待ちくたびれましたよ。護衛一番隊、リクトール隊長」

「そいつは悪かったな。あんたらが仕掛けた罠に、まんまと引っ掛かっていたんでね。俺達の目を欺いてこんなとこに穴を開けるなんざ、流石は、元大天使長様だって褒めるべきか」

「大天使長!?」

 そんな偉い天使が堕天使になったの? どうして? それに大天使長なんて、すごく強いんじゃないの?