「おい、もういいぞ」

 目を開けると、たくさんあった傷が全部綺麗に治っていた。

「わあ、ありがとう! すごい! こんなこと出来るなんて、やっぱ、アクマ天使は、ちゃんと天使なんだね! それに、全然上手だったよ!」

「天使様、だ。ったく、お前は何度言わせんだ」

 アクマ天使がちょっと笑っている。言葉遣いはいつも通りだけど、こんな顔初めて見る。何だか、嬉しい。

「それは、絶対言わないって、決めてるの!」

「ちっ、帰るぞ。春川にカルピス貰うんだろ」

「うん!」

 しっかり竹刀袋を抱えて、ふわっと浮かび上がるアクマ天使に体をゆだねた。