カーラはピタリと足を止めてその場で振り返り、面倒そうに答えた。
「ああ、はい。水を持ってきます」
「嫌よ。美味しいお茶が飲みたいわ」
「え、そこ注文付けます?」
「できたらハーブティーが良いわね」
「ええ……」
笑顔で言うアリシアに、カーラはため息をつく。
「あの、アリシア様。あなた今拘束されてるんですよ。変にわがまま言って、もしアタシが水を持ってくるのすら拒否したら……とか考えないんですか?」
「こんな暑いなか水すら飲めなかったら脱水症状で死ぬかもしれないわね。でもわたしはこの船の人たちにとって、人質もしくは“商品”でしょ?殺すわけにはいかないじゃない」
「まあそうですが」
「あとわたし、毎日必ずハーブティーを飲まないと美しさを保てない体質なの。美しくなくなったら価値は下がるわよ」
「……んな体質あってたまりますか!」
思わずツッコミを入れたカーラ。
わしゃわしゃと頭をかいて、諦めたように「わかりましたよ」と目を細める。
「ハーブティーですね。積んでる荷物の中に少しぐらいあるでしょ。王宮のお茶係としての名に恥じない美味しいハーブティーを淹れますから大人しくしていてくださいよ」



