お見合いから始まる極上御曹司の華麗なる結婚宣言

そこにストレートに触れられてしまったら私はきっと泣いてしまう。そしたら名波先生にもっと迷惑をかけると思うから。

ただ私を包み込むように、少しでも気持ちが落ち着くように、付き合ってくれている名波先生の優しさが本当にありがたいと思った。

それから一時間あまり経っただろうか。料理を摘まみながら他愛もない話をして過ごしていた。

「グラス空いたけど同じものでいい?」

「あ、はい……」

名波先生に言われるがままにコクンとうなずく。爽やかで飲みやすい口当たりのノンアルカクテルをいつの間にか飲み干していた。

アルコールが入っていないというのになんだか頭がボーッとして身体が熱い気がする。

「なんか私、アルコールを飲んでないのに酔っ払った気分です」

頰を両手で抑えながら苦笑いを浮かべた。きっとここ数日、いろいろと悩み通しでろくに睡眠も取れなかったせいだろう。

なぜかこのタイミングで疲れがどっと押し寄せてきてしまったようだ。なんだか瞼が重く感じて睡魔まで襲ってきた。

「美月ちゃん、きっとそれはアルコールのせいだよ」

「え?」

「騙してごめんね。一杯目からちゃんとアルコール入りだから。濃い目に作ってもらったから美月ちゃんには効果的面だったみたいだね」

「なん、でそんなこと……」

柔らかく微笑みながら、そんな驚きのカミングアウトをしてきた名波先生の前で動揺を隠せなかった。