いくら私が大丈夫だと言っても名波先生は足を止めてはくれない。そして名波先生は、病院の地下駐車場にある自分の車に私の荷物を詰め込んで、私の方を振り返った。
「夕飯に付き合ってくれたら美月ちゃんのことを解放してあげる」
「え?」
「さぁ着いてきて」
どうやら私に拒否権はないらしい。名波先生が私の手を引き歩き出した。名波先生は優しい人だから泣いてる私を見て、放っておくことができなかったんだと思う。
「無理やり付き合わせてごめんね」
「いえ。私の方が気を遣わせてしまって申し訳ないです」
名波先生が首を横に振って示し、柔らかく笑う。名波先生が私を連れてきたのは、ベリーヒルズビレッジ内にある高層オフィスビルの上層階にある高級レストランの個室だった。
ここに来るまで上層階専用エレベーターに乗ってきたので誰とも会うことがなかった。
泣いている顔を誰にも見られたくない私の気持ちを悟り、近くて人目につかないこの場所を選んでくれたんだと思う。
ダウンライトが暖かな雰囲気を醸し出している、白とダークブラウンで統一されたその個室からは、都内を一望できるラグジュアリーな空間だが、今の私にはそれを楽しむ余裕がなくて、なんだか申し訳ないと思ってしまう。
「夕飯に付き合ってくれたら美月ちゃんのことを解放してあげる」
「え?」
「さぁ着いてきて」
どうやら私に拒否権はないらしい。名波先生が私の手を引き歩き出した。名波先生は優しい人だから泣いてる私を見て、放っておくことができなかったんだと思う。
「無理やり付き合わせてごめんね」
「いえ。私の方が気を遣わせてしまって申し訳ないです」
名波先生が首を横に振って示し、柔らかく笑う。名波先生が私を連れてきたのは、ベリーヒルズビレッジ内にある高層オフィスビルの上層階にある高級レストランの個室だった。
ここに来るまで上層階専用エレベーターに乗ってきたので誰とも会うことがなかった。
泣いている顔を誰にも見られたくない私の気持ちを悟り、近くて人目につかないこの場所を選んでくれたんだと思う。
ダウンライトが暖かな雰囲気を醸し出している、白とダークブラウンで統一されたその個室からは、都内を一望できるラグジュアリーな空間だが、今の私にはそれを楽しむ余裕がなくて、なんだか申し訳ないと思ってしまう。

