お見合いから始まる極上御曹司の華麗なる結婚宣言

それから数日が過ぎた。私は紗希の家に居候中だ。薫さんからは当然ながら連絡はない。両親からも連絡がないことから、まだ薫さんから両親に話はいっていないのだと思った。

でもそれもきっと時間の問題だろう。両親になんと説明したらいいんだろう。それに私のせいで父と九条会長の関係にもヒビが入るかもしれないと思うと気持ちが沈んでいく。

医者にはならないは、見合い話を破談にするは、私は本当に親不孝な子供に違いない。

紗希には後悔のない選択をしてほしいと言われたが、今さら玉砕覚悟で薫さんに想いを伝えることはできない。

宙ぶらりんのまま、薫さんがいないであろう時間を見計らって薫さんの家を訪れた。とにかく一刻も早く残りの荷物の整理をしなければいけないと思ったのだ。

大きなスーツケースに荷物を詰め込んでいく。込み上げてくる虚しさに涙が溢れ、何度も手で涙を拭いながら作業を進めていった。

ある程度片付け終わった地点でスーツケースをパタンと閉めて立ち上がる。そして静まり返った誰もいない部屋に一礼をして、家の鍵と手紙が入った封筒をセキュリティで厳重に守られた家のポストへと滑らせて、私は歩き出した。