「一緒に暮らして九条さんのいろんな姿をみて、彼の優しさや愛情に触れて美月の中でそんな感情が芽生えたんじゃないかな? 話を聞いていて九条さんへの想いで溢れ過ぎていて、それに気付かない美月の鈍感さには笑っちゃうわよ」
紗希が大きくかぶりを振る。紗希に言われて胸に沸き上がっていた感情や流した涙の意味を自分の中でやっと理解できた気がする。
私は薫さんのことをいつの間にか好きになっていたんだ……。
だけどそれに気づくのが遅過ぎた。あんな暴言を吐いておいて今さら薫さんのところには戻れない。それに『勝手にしろ』と言われ突き放されて、薫さんの中で私は面倒くさい女で、すでに愛想を尽かされてしまっている。
なにより薫さんにはあの女性がいる。あんな優しいまなざしを向けるくらいに、きっと薫さんは彼女のことを想っているに違いない。そう思うと、胸が切なくなって再び視界が滲んだ。
「ここから先は美月自身が決めることだからとやかくは言わない。だけど美月には幸せになってほしいし、後悔のない選択をしてほしいと思ってる」
私を諭すように紗希がそうつぶやいた。
紗希が大きくかぶりを振る。紗希に言われて胸に沸き上がっていた感情や流した涙の意味を自分の中でやっと理解できた気がする。
私は薫さんのことをいつの間にか好きになっていたんだ……。
だけどそれに気づくのが遅過ぎた。あんな暴言を吐いておいて今さら薫さんのところには戻れない。それに『勝手にしろ』と言われ突き放されて、薫さんの中で私は面倒くさい女で、すでに愛想を尽かされてしまっている。
なにより薫さんにはあの女性がいる。あんな優しいまなざしを向けるくらいに、きっと薫さんは彼女のことを想っているに違いない。そう思うと、胸が切なくなって再び視界が滲んだ。
「ここから先は美月自身が決めることだからとやかくは言わない。だけど美月には幸せになってほしいし、後悔のない選択をしてほしいと思ってる」
私を諭すように紗希がそうつぶやいた。

