お見合いから始まる極上御曹司の華麗なる結婚宣言

“美月に触れていいのはこの俺だけだ。他の男には指一本触れさせたくない”

薫さんが放った言葉が頭の中をぐるぐるとループする。そんなことを言っておきながら薫さんはーー

薫さんの腕に手を絡ませていた女性の姿が蘇ってきて、苛立ちに似た感情が芽生えていくのを感じる。

自分はよくて他人はダメで、思わせぶりなことを言って私の心を掻き乱して、気まぐれな彼の独占欲に振り回されるのは、もうたくさんだ。

あの女性に向けたまなざしを私に同じように向けないで。あの人に触れたその手で私に触れないで。

「もうこれ以上あなたの気まぐれに付き合いたくないです! その手で私に触れないで!」

こんなにも感情を露わにするのは、両親以外の人には初めてだ。ピタッと薫さんの動きが止まる。

「なにをそんなに怒っている?」

私の身体を解放した薫さんが不服げな様子で私を見下ろす。