お見合いから始まる極上御曹司の華麗なる結婚宣言

「な、んでしょうか?」

震える声でそう聞き返した。

「さっき病院前であの男となにを話していた?」

「え?」

「車の中からふたりを見かけた。あれはこないだ駐車場で会った男だろう?」

「名波先生のことですか? ビレッジ内を歩いていたらたまたま会って少し立ち話をしただけです」

「本当にそれだけか?」

「はい。それだけです。なぜそんなことを聞くんですか? 薫さんいつもと違います。口調も態度もなんだか怒っているようでなにがなんだか……」

「立ち話をしていただけの男がなんで美月の頭に触れるんだ? なぜそれを許す?」

「え?」

「美月に触れていいのはこの俺だけだ。他の男には指一本触れさせたくない」

「……んっ」

半ば強引に落とされたキスに頭が真っ白になった。抵抗もできないまま、激しさを増していくキスに息をするのもままらならなくて頭がクラクラしてきた。

そのうちにソファーへと押し倒されて、私の唇を解放した薫さんと目が合った。なんとも言えない切なげな瞳をした彼が今度は首筋にキスを落とす。それと同時にスカートの中に指を滑らせてきて、太ももを撫でた。

今までに感じたことのない感覚が走り、身体を震わせる。

「薫さん……やめて。どうしていきなり……こんなことを……」

いつもの薫さんならここで私の言葉を聞き入れて止めてくれる。そして、揶揄いが過ぎたなんて言って、悪戯に笑って私を見るのに、やはり今日の薫さんはいつもと違う。