お見合いから始まる極上御曹司の華麗なる結婚宣言

「出張お疲れ様でした。実家に顔を出していて帰りが遅くなってしまいました。すみません」

リビングから明かりが漏れていることから薫さんがリビングにいるであろうと推測して、ガチャッとリビングのドアを開けて、一気にそんな言葉を吐いた。

「そうか」

ソファーに腰を下ろしながら、新聞を読んでいた薫さんがひと言そう呟いた。こちらの方をチラリとも見てはくれない。

いつもとは違う薫さんの態度が気になりながらも、目を合わせてしまったら心の内を読み取られてしまいそうだから、返って良かったのかもしれないとも思う。

そんな私の目に飛び込んできたのは薫さんの胸元の水色のネクタイで、やはりさっき見かけたのは薫さんだったのだと実感した。

「私、やらなければいけない仕事があるので部屋に行きますね」

この場にいるのが苦しくなってそんな嘘をついて自分の部屋へと向かい出した。

「待て。美月に聞きたいことがある」

「……っ」

私の腕をとり、引き留めた薫さんの思いもしない行動に大きく目を見開きながら、薫さんの方を振り向いた。

薫さんの表情は険しくて機嫌が悪いように見える。なにか気に障ることをやらかしてしまったんだろうか。