お見合いから始まる極上御曹司の華麗なる結婚宣言

「美月ちゃん、なんだか悲しそうな顔をしてるね」

「え？」

「なんか悩み事があるなら俺で良ければ、いつでも話を聞くよ。美月ちゃんにはそんな顔してほしくない。心から笑っていてほしいから」

名波先生が柔らかく微笑みながら、私の頭を優しく撫でた。名波先生の思わぬ行動に戸惑い、目を泳がせた。

「……お気遣いありがとうございます。でも今のところは大丈夫です。なにかあったときは相談させてもらいます」

「うん。いつでも連絡して」

名波先生はそれ以上無理強いはしなかった。それからすぐに名波先生と別れてレジデンスの方へと足を進めていく。薫さんから家に着いたとのメッセージが入っていることに気がついた。

薫さんと揉めたわけでもないのだから、今日の件は見なかったことにして平静を装えばいいのだと何度も言い聞かせながら、メインエントランスをくぐり、その先のセキュリティーエリアへと足を進めエレベーターへと乗り込む。

すぐにエレベーターは最上階へと着いて、幾ばくかの胸の高鳴りを感じながら部屋のドアの前にも立ち、意を決して玄関へと足を進めた。