お見合いから始まる極上御曹司の華麗なる結婚宣言

「美月お姉ちゃんだー!」

小児病棟にあるキッズルームに顔を出すと、中で遊んでいた子供のひとりが駆け寄ってきた。生まれた時から腎臓に病気を抱えていて入退院を繰り返している七歳の女の子だ。

「久しぶりだね。なにして遊ぼうか?」

「お絵かきしたい! お姫さまの絵を描きたい」

「じゃあ一緒に描こう」

女の子の手を取り、キッズルームに足を進めた。中には何人か子供たちがいて各々遊んでいた。室内の天井には青空や雲の絵が描かれている。

そして壁には風船やメリーゴーランド、ドレスを着たお姫さま風の女の子やユニコーンやケーキやマカロンなどのメルヘンで色彩豊かな絵が描かれており、夢の世界にいる感覚を覚える。

闘病生活を続ける子供たちの気持ちが少しでも明るくなりますように……父がそんな願いを込めてこのキッズルームを設計してもらったと聞いている。

砂羽(さわ)ね、退院したらパパとママと遊園地に行く約束をしているの。こーんな可愛いドレス着て行く予定なんだよ」

一緒にお絵かきをしていた砂羽ちゃんがそう言って描いたばかりの絵を見せる。そこにはパパとママの真ん中で可愛らしいピンクのドレスを着た砂羽ちゃんらしき女の子が描かれていた。

「リボンがたくさんあってすごいキュートだね。砂羽ちゃんによく似合うと思うよ」

「本当? 嬉しい!」

砂羽ちゃんが嬉しそうに微笑んだ。