お見合いから始まる極上御曹司の華麗なる結婚宣言

それから数日が過ぎた。私の生活は変わらない。毎日仕事に励み、家に帰れば薫さんの魔の手から逃げ回る日々だ。

精神的にかなり疲れているが、今日は仕事がお昼までということで、あるところに行こうと考えていた。

仕事終わりに近くのカフェで軽く昼食を食べてから、その場所に向かうことにした。

ここに来るのはなんだかんだ一か月半ぶりだろうか。

「美月、薫くんとはうまくやっているか?」

「ええ。まぁ……そうですね」

「ならば良かった」

白衣姿の父が安心したように笑う。私が向かったのは父の病院だ。父と顔を合わせるのも両家の食事会以来だから久々ということになる。

薫さんとの勝負のことをもちろん両親は知らない。騙しているようで少し罪悪感が募るが、本当のことは口が裂けても言えない。

「今日はお父様の顔を見にきたのもあるのだけれど、キッズルームにも少し顔を出そうと思って来たの」

「そうだったのか。ぜひぜひそうしていってくれ」

父が嬉しそうに微笑んだ。

学生時代にボランティア活動の一環として、月に何回か父の病院の小児科病棟にあるキッズルームを訪れて、子供たちと一緒に年行事を祝ったり、読み聞かせをしたり一緒に遊んだり、いろんな活動をしていた。

社会人になった今でもたまにここに来て子供たちと触れ合い、純粋無垢な姿に触れると心が洗われるような気がしている。