お見合いから始まる極上御曹司の華麗なる結婚宣言

「会えなくて寂しかったのか?」

「え? いや全然そんなことはな……」

席から立ち上がった薫さんを見て、咄嗟に唇を隠した。

「なにをそんなに意識している?」

私が身構えた様子を見て薫さんがクスクスと笑う。

「す、隙を見せないようにしているだけです!」

「そうか。本当に美月は揶揄い甲斐があるな。まぁいい。ひとまずそこの席に座れ」

そう言って薫さんは冷蔵庫の方へと向かう。どうやらキスは阻止できた模様だ。ホッと腕を撫で下ろし、言われたように席へと腰を下ろす。

「北海道土産だ。風味が落ちないうちに食べてみろ」

「え?」

と、戻ってきた薫さんがそう言ってデザート皿を私の前に差し出した。その上に置かれていたのは、私の大好物である苺のミルフィーユだ。

「これどうしたんですか?」

「北海道の店で買ってきた。仕事先の人にその店のミルフィーユとチーズケーキが今、道内一人気があると聞いたんだ。美月がこの前ミルフィーユが好物だと言っていたから食べさせたくなったんだ」

「あ、りがとうございます」

なぜか照れてしまって、モジモジしながら差し出されたフォークを受け取った。