お見合いから始まる極上御曹司の華麗なる結婚宣言

「久しぶり、元気だった?」

「うん。割と元気だった。紗希も仕事お疲れ様」

時刻は十八時すぎ。待ち合わせ場所の和食創作料理屋さんの個室で紗希との久しぶりの再会を果たし、自然と笑みが溢れる。

「元気そうで良かった」

紗希が安心したように表情を緩ませた。

「彼の例の提案のおかげで気持ちが軽くなったの。半年後には私は解放されて自由の身よ」

紗希には九条さんとの勝負の話を電話で伝えていた。

「まぁ今のところ美月が思うようにことが進んでいるようだけど、嵐の前の静けさってところかな」

「え?」

グラスを合わせて乾杯した直後、紗希がそんな意味深なことを言ってきて、私の目は点になった。

「どういう意味?」

烏龍茶をゴクリと飲み込み、紗希の話の続きを待つ。

「九条さんにあんな大胆な宣言をされてるわけじゃない? それなのに強引で自信家の彼がこのままなにもしないとは思えないのよね。本当にあのキス以来、まったくなにもされてないの?」

「ええ、なにも。寝起きも別だし、身体に触れてくることも、意地悪なことを言ってくることもないし」